校長室より

2024年7月の記事一覧

【校長室】青春をかけた夏の挑戦(野球部、チーム越南応援団)

 7月11日(水)から全国高等学校野球選手権大会埼玉県大会が始まり、昨日7月14日(日)満を持して本校野球部が初戦を迎えました。対戦相手は今大会Bシード(上位4校)で県内屈指の強豪校である山村学園で、相手の胸を借りつつ相手のストロングポイントを封じて下剋上を目指す熱い戦いとなりました。
 朝からの小雨が降り続く決して良いコンディションではない中、第1試合が長引き予定より30分ほど遅れての試合開始となりました。
 後攻となった本校一塁側のスタンドは、野球の応援には欠かせない吹奏楽部員とチアダンス部員、そして今大会は応援にまわった野球部員、取材活動をしてくれた写真部員と新聞部員、更には本校のロゴが記されたTシャツやキャップ、タオルなどを身に着けた保護者の皆さまやOBOGに加え、本校を応援してくださる方々など、大応援団で埋め尽くされました。
 試合前の公式練習に臨む選手たちは、どの選手も適度な緊張感を持ちつつキリッとした目をしており、良いゲームとなる予感がしました。
 試合はエース杉浦くんの好投で1回表をノーヒットに抑え、素晴らしい出だしで1回裏の攻撃を迎えました。スタンドでは2年生応援リーダーの野球部員の気持ちのこもった掛け声とともに、試合の流れを掴むべく吹奏楽部員の演奏に乗ってチアダンス部が華やかに踊り、メガホンと声援で一気にボルテージMAXになりましたが、相手もさすがに強豪校だけあって簡単には打たせてくれず互いに譲らない締まった出だしとなりました。
 迎えた2回、好投していた杉浦くんが初ヒットを許すと相手は畳み掛けるように一気に攻勢を強め、味方のミスも重なり、本塁打を含む連打で6失点を許してしまいました。ここでマウンドをアンダースローの関根くんに託し嫌なムードを断ち切ろうとしましたが、勢い付いた相手を打ち取るのは難しく8失点のビッグイニングを与えてしまいました。
 しかし、こうした劣勢でも諦めずに全力で戦い続けられるのが越南生の素晴らしいところ。2回裏以後何とか反撃の狼煙を上げたい本校は、相手ピッチャーの球に喰らいつきますが1本が出ず、なかなか出塁できない苦しい展開が続きました。
 4回にはタイムリーを浴び1失点、5回にはストライクを取りに行った初球を狙われ更に5点を失ってしまいました。コールド試合を回避したい本校の5回裏の攻撃では、この回からマウンドに上がったプロも注目する相手エースの球に真っ向勝負で挑みましたが出塁は叶わず、最後は芯で捉えた素晴らしい当たりを放つも無情にもセンターの好捕に阻まれ、試合終了のサイレンとともに甲子園という大きな夢に挑戦した野球部の夏が終わり、3年生が引退することとなりました。同時に、可憐なダンスでスタンドを盛り上げ選手たちを鼓舞し続けたチアダンス部の3年生も引退を迎えることとなりました。
 試合は残念ながら強豪校の力に屈する結果となりましたが、苦しい展開の中でも華麗にダブルプレーを奪ったり、あわやライトオーバーの当たりを巧みな身のこなしで好捕したり、随所に好プレーが見られ、日々厳しい練習を積み重ねてきた成果を発揮できる場面もありました。何より、どんなに点差が離れても決して集中力を切らすことなく、最後まで全力で戦い続けた選手たちや、そうした選手たちを自分事のように全力で応援し続けた各部の生徒たちは、終始純粋で高校生らしい輝きを放ち、本校の生徒としてとても誇り高く感じられるものでした。流した涙がそれを証明するように「人の心を動かす」とは、こうした事なのだと再認識させてくれたとともに、「南の風」の素晴らしさを肌で感じることができ、生徒たちに感謝の気持ちでいっぱいです。

 選手たちは敗れた悔しさで一杯だと思いますが、高みを目指して自主練習に取り組むなど、これまで積み重ねてきた努力は確実に皆さんを成長させてくれたはずです。また、ともに戦ってきた仲間たちとは掛け替えのない関係を築き充実した時間を過ごせたのではないでしょうか。野球部の皆さんは、どこで見かけても常に礼儀正しく爽やかで、文武両道を目指す本校生徒たちをリードする存在です。下級生は引退する3年生の意志を継いで更なる飛躍を目指してほしいと願います。
 また、何とか一矢報いるべくベンチもスタンドも心を一つにして戦ったこの経験が吹奏楽部やチアダンス部、写真部や新聞部などチーム越南応援団の生徒たちにも、直向きに努力することの大切さや夢を叶えることの難しさなど多くの学びを与えてくれたことだと感じています。こうした学びを経験しながら、人としての豊かさを身に付け、社会に求められる人材として大きく成長してくれることを願って止みません。
 本日は雨天にも関わらず、たくさんの保護者の皆さまにご来場いただくとともに、雨に濡れながらもチーム越南応援団とともに熱いご声援を届けていただき誠にありがとうございました。きっと皆さまのご声援が選手たちにとっては大きな勇気となり、思い切り戦えたのだと思います。
 試合後に保護者代表の方から涙とともに頂いた「君たちの試合でこんなに感動させられるとは思わなかった」という言葉に、直向きに努力する選手たちの想いをお伝えすることができたと安堵するとともに、日頃から影となり日向となり支えてくださった保護者の皆さまが居たからこそ本校の生徒たちが思い切り部活動に打ち込めるのだと改めて感じた次第でございます。保護者の皆さまのご理解とご協力に心から感謝申し上げます。

 頑張れ越南生!頑張れ野球部、チアダンス部!