校長ブログ

遥かなる道「甲子園」(野球部夏の全国大会予選)

 一昨日の7月13日(日)、越谷市民球場にて第107回全国高等学校野球選手権埼玉大会の1回戦が行われ、本校野球部が夏の甲子園に挑戦する闘いが始まりました。

 この大会は、夏の風物詩ともいえる全国高校野球夏の甲子園大会の県予選であり、県の頂点を極めたチームのみに全国の高校球児たちの聖地、阪神甲子園球場で行われる全国大会に出場する権利が与えられるレギュレーションとなっています。

 本校1回戦の対戦相手は、同じ越谷市に所在する越ケ谷高校となりました。越ケ谷高校は、歴史や伝統の部分では本校の2倍に当たる100年の年月を積み重ねてきた越谷市を代表する伝統校ですが、それぞれが独自の特色を前面に打ち出しながら、地元の高校生たちの青春を支える学校として切磋琢磨してきたライバル校でもあります。

 試合は、ギラギラと太陽が照り付け額から汗が噴き出すような猛暑の中、球場内に鳴り響くサイレンの音とともにプレーボールとなり、相手校の先攻で始まりました。本校は先発の3年生投手がセットポジションから力強く投げ込み、先頭打者をショートゴロに仕留めて幸先よくスタートしたかに見えましが、続く2番打者にセンター前にはじき返されるとエラーで先制を許し、四球とライト前タイムリーで初回から2点を先制される苦しい展開となりました。

 2回表からは投手が交代となり、ヒットを許す苦しい展開は続くものの野手の踏ん張りもあり4回まで無失点に抑えることができました。

 迎えた3回裏、本校の攻撃は下位打線から始まり、2者連続三振で相手のリズムを崩せないまま意気消沈しかけていたところで、2巡目となった1番打者が見事にセンター前にはじき返し、2アウトながら反撃の狼煙を上げます。これに動揺した相手投手は、続く2番打者に死球を与え、本校は2アウト1,2塁とこの日初めてのチャンスを迎えました。このチャンスに3番打者が見事なセンター返しでタイムリーを放ち、待望の1点を返しました。勢いに乗るベンチに加えてスタンドも一気に盛り上がり、押せ押せの雰囲気となりましたが、続く4番打者の当たりはバットの芯を捉えたものの、無情にもセンターフライに倒れ、同点の好機を生かすことはできませんでした。

 4回はともに凡退し、迎えた5回表、相手校の攻撃では、先頭打者に四球を与えると、すかさず2盗(2塁へ盗塁)を許し、手堅く送りバントで1アウト3塁の場面となり、センターへの犠牲フライにより追加点を奪われてしまいました。 更に、6回表には、センター前、ライト前に連続安打を許すと、送りバントと2回のスクイズで2点を失い、1対5と4点のビハインドとなりました。

 迎えた6回裏、本校に再びチャンスが訪れます。相手投手が突如制球を乱し、1本のヒットと4つの四球で2点を返し、再び2点差と詰め寄ります。

 しかし、続く7回表、相手の攻撃で、本校投手も制球が整わず、先頭打者に四球を与えると、続く打者にはストライクを取りにいった甘い球を左中間に運ばれ1点を失いました。続く打者にもセンターへの犠牲フライを打たれこの回2失点、その後2四球と1死球で満塁のピンチを迎えたところで投手交代。4番手投手が続く打者をセカンドゴロに抑えて何とか切り抜けました。

 更に8回と9回にはともに四球で走者を出し、バックホームに備えてやや前進気味の外野手の頭上を越えるタイムリーを浴びて1点ずつ失い点差を広げられました。

 対する本校は、何とか反撃の糸口をつかんで再び狼煙を上げるべく、円陣を組んで気合を入れ直して攻撃に臨みます。スタンドの応援も、グラウンドで戦う選手の背中を押すべく、吹奏楽部の迫力ある音楽に乗せ、チアダンス部のキュートな踊りと応援担当野球部員たちの声援でスタンド内は最高潮となり、選手と応援団がまさに一体となった最高の雰囲気で、闘う野球部員たちを勇気付けました。

 しかし、恵まれた体格から威力ある速球を投じる相手リリーフ投手の前に、7回以降打撃が沈黙し、7回は凡退、8回、9回はともに3者連続三振と相手に脅威を与えることができずに、無念のゲームセットとなりました。

 本校野球部の部員たちは、いつ見ても礼儀正しく爽やかで、私たち大人を見つけると必ず立ち止まって正対し、目を合わせて挨拶してくれる校内で最も気持ちのいい集団です。グラウンドに目を向ければ、自主的に朝練習に取り組むとともに、地道な反復練習にもコツコツと取り組み続ける根気強さも目を見張るものがあります。

 特に感じるのは、レギュラーか否かとか、先輩か後輩かなどのスキルや立場に関係なく、すべての部員たちが同じベクトルを持って刺激し合い、高め合いながら目標に向かっている一体感を強く感じます。

 スポーツは勝負の世界であるという側面から見れば、どうしても勝敗ばかりに目が行きがちですが、勝負という厳しい現実に向き合いながらも、仲間とともに高みを目指すというプロセスを大切にすることにより、人格を磨き、掛け替えのない財産を身に付けているのだと感じます。

 この日の球場は立見席が出るほどの超満員で、スタンド中央の最前列に陣取り華やかな踊りで盛り上げたチアダンス部員たちや額に汗しながら迫力ある音楽で選手を勇気付けた吹奏楽部員たち、貴重な青春の1ページを切り取ろうとファインダー越しに見える景色から声援を送る写真部員たちはもとより、たくさんの保護者の皆さまやOB、OG、現役の本校生徒たちに加えて、日頃から本校を応援していただいている高校野球ファンの皆さまなど、野球部員と心を共にして戦ってくださった皆さまでスタジアムは溢れんばかりでした。

 そうした多くの皆さまの想いを背負って決戦に臨んだものの、心とは裏腹に思うようなプレーができずに大会を終える結果となった野球部員たちは、本当に悔しい思いをしているに違いありません。敗戦が決まった瞬間、かつて自分が高校生だったころ、高校最後の大会で敗れたその時を思い出し、きっと同じような気持ちを味わっているのだろうと、大きく心を揺さぶられました。

 勝負事には勝者があれば敗者もあり、まして集団競技や相手のある競技では、思いどおりに展開しないことの方が圧倒的に多いのであり、勝利できなかったことは、決して皆さんの積み重ねが劣っていたということではありません。むしろ、勝敗に関わらず、ここに至るまでのプロセスが必ず皆さんを成長させ、大人へと導いてくれたはずです。

 大切なのは、そうした思いどおりにならない場面で、どのように自分をコントロールし、次なるスタートを切るのかということなのであり、この敗戦の悔しさを飛躍のための活力に変えられるか否かということなのです。そうした意味では、ひとしきり悔しさを味わった先では、新たな目標に向かってしっかりとスタートを切ってほしいと願います。

 また、皆さんがグラウンドから見上げた先のスタンドを埋め尽くしたたくさんの方々が、君たち野球部員を応援するために集まってくれたことを忘れてはなりません。皆さんがこれまで地道に粘り強く努力を重ねてきたことを知っているからこそ、これだけたくさんの方々が動いたのは紛れもない事実であり、こうして応援していただけるということこそが、皆さんにとって最も価値ある財産なのだと思います。多くの人たちに見守られ、認められ、応援していただけていることにしっかりと感謝するとともに、自分自身を肯定し、自信を持って次なる挑戦に向かってほしいと願います。

 この度は、ご多忙の中、また猛暑にもかかわらず、本当にたくさんの保護者の皆さま、OB・OGの皆さま、野球ファンの皆さまにご来場いただくとともに、本校生徒に熱い声援を賜り、心より感謝申し上げます。残念ながら試合に勝利することは叶いませんでしたが、部員たちは1年間積み重ねてきた想いをぶつけて、思い切りプレーすることはできたのだと思います。これも偏に、皆さまのあたたかな後押しのおかげであると感じており、重ねて感謝申し上げます。

 一つの世代の終わりを迎えましたが、同時に新たな世代のスタートであるとも言えます。本校生徒たちが部活動を通じた自己実現に情熱を持って取り組めるよう、今後とも変らぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

 頑張れ、越南生!頑張れ、野球部!