校長室より

「良い準備」と「想いの強さ」(サッカー部トレーニングマッチ)

 本日1月12日(日)雲に覆われ寒さの厳しい本校グラウンドでは、東部支部新人大会を1週間後に控えたサッカー部が、大会前最後のトレーニングマッチを実施しました。

 サッカー部の公式戦は、年間を通じて行われるリーグ戦の他に、インターハイ予選、全国高校サッカー選手権大会予選、そして新人大会の3つの大会で構成されています。この他、新人大会支部予選のシード校を決めるための支部大会と新人大会の上位校のみが出場できる関東大会予選の2つの大会が公式戦として位置付けられています。

 本校は、新チームとなって初めての大会となる11月の東部支部大会で3戦全勝したことで、今回行われる東部支部新人大会はシード権を持って出場することとなります。

 昨今の高等学校スポーツは、教職員の働き方改革に伴う部活動の在り方の見直しや地域移行に加え、コロナ禍による活動制限が重くのしかかり、特に公立高校ではそうした国の意向が大きな影響を及ぼしている現状があります。一方で、公立高校に比べると国や県の制約を受けにくい私立高校が、充実した施設設備や柔軟な入試制度を活用して台頭し、あらゆる競技で優位な立場にいる傾向が強くなっています。

 こうした中で、本校をはじめとする公立高等学校の役割は、チャンピオンシップスポーツであるからこそ勝利を追求することはもちろんですが、同時にスポーツの本質である競技の特性に触れながらスキルアップを目指し、生涯にわたって楽しむ素地を育むことや、スポーツを通じて自己肯定感を高め、健全で豊かな人格の育成を目指すことであると言えます。

 本校の目指す「高いレベルでの文武両道」による自己実現は、まさにそうした公立高等学校の在り方を具現化するものであり、引退後の人生を豊かなものにするためにも、部活動だけに偏らない全人教育を目指すものでもあります。

 本日は、大会前の最後のチーム戦術の確認の場として、南部地区の川口北高校とのトレーニングマッチに臨みました。対戦相手となった川口北高校は本校と創立年度を共にし、同じように「文武両道」による人格の育成を軸とする学校で、校風や生徒たちの様子など本校と似たような傾向が強く、どちらの選手も素直で真面目であり、直向きに努力するチームカラーが特徴のチーム同士の対戦となりました。

 試合は、前述のとおり同じようなチームカラーであるが故に、目指している戦い方も重なるものがあり、お互いに気持ちのこもった気迫あるプレーの連続となりました。ただ、グループ戦術の浸透レベルや個々の技術レベルでは、僅かに相手が上回っており、セカンドボールの回収率や各エリアでのポゼッション率は相手に一日の長があり、本校にとっては劣勢な試合展開となりました。

 相手が大切にボールを保持し、ショートパスをシンプルにつないで打開を図る展開が多くみられる中、本校は守備のブロックを形成してボールの奪いどころを絞って対応を試みましたが、相手の推進力を止めることができずに2失点し、大会前最後の試合を勝利で飾ることはできませんでした。

 試合後には、公式戦を想定してPK戦(ペナルティ・キック)を行いました。PK戦は相手の心理に読み勝つ力と、平常心で正確にコントロールする力の戦いですが、実戦さながらの緊張感の中、本校のGK(ゴールキーパー)が2本のスーパーセーブを見せ、見事に6-5で勝利しました。

 第2試合では、分析班の生徒を中心に戦術の確認を行い、第1試合でのビハインドを取り返すべく試合に臨みましたが、相手も集中力の高いクレバーなチームで、1試合目同様に一進一退の攻防となりました。前半左サイドの展開からボールがつながり、ペナルティアリア付近の左45度からのミドルシュートが決まり先制しましたが、自陣ペナルティーエリア内でのGKと相手との交錯からのこぼれ球を押し込まれ、同点のままハーフタイムを迎えました。

 トップチーム同士のゲームでは、残念ながら勝利を手にして気持ちよく大会に向かうというプランは崩れたものの、逆に自分たちの修正すべき点や戦術面での綻びなどを再確認する良い機会となったのではないでしょうか。また、PK戦ではGKの大活躍など、プレッシャーのかかる実戦の中で結果を残したことは、多くの選手の自信につながったのではないでしょうか。

 東部支部新人大会では、上位2チームに県大会への、上位6チームに関東大会予選への出場権が与えられます。まずは1戦1戦集中してチーム全員が一つとなって勝利を目指すことを大切にし、結果的に関東大会予選出場権の獲得につながれば良いのではないかと思います。そうした積み重ねの先に県大会出場などの未来が待っているのだと思います。

 部員たちには、日頃から自分たちが熱い想いを持って取り組んでいることにプライドを持ち、そして監督やコーチからどのようなことを求められているのかを再確認して、大会までのあと1週間「良い準備」を重ね、「強い想い」を持って大会に臨んで大きな「南の風」を吹かしてきてほしいと願います。

 本校の1回戦は1月18日(土)の本校第2グラウンドにおいて午前10時にキックオフとなります。対戦相手は吉川美南高校と松栄学園高校の合同チームとなっています。保護者の皆さまをはじめ、お時間の許す方は、ぜひ会場にて部員たちに熱い声援をいただけますようお願い申し上げます。

 頑張れ、越南生!頑張れ、サッカー部!