校長室より

自分に打ち勝った証(長距離大会)

 本日11月13日(木)三郷市の江戸川運動公園をスタート&ゴールとする江戸川河川敷のサイクリングロードを利用したコースにて第52回長距離大会が開催されました。

 この長距離大会は、開校当初から続く本校の伝統行事で、「文武両道」を校訓とする本校生徒たちが日常生活で経験することのない長距離を完走(歩いてもよい)することを目指すことにより、体力の向上はもとより、心身の鍛錬を図り、克服感や達成感を味わい、困難に立ち向かう力を身に付けるために開催しているものです。かつては30kmの距離を走っていたようですが、時代の流れとともに近年は距離を短縮し、男子は江戸川広域運動公園折り返しの21km、女子は吉川公園自由広場折り返しの14kmの距離となっています。

 本日は、あいにく空には朝から雲がかかり、観ている者にとっては肌寒く感じる気温でしたが、大会に参加する生徒たちにとっては適度な湿度と気温で、熱中症の心配もない絶好のコンディションとなりました。

 午前9時にスタート地点となる河川敷に集合した生徒たちは、各学年の体操着に身を包み、靴には計測用のICチップを装着し、胸に固有の番号が印字されたゼッケンを貼ってクラスごとにきれいに整列しました。

 開会式では、校長の私から「弱い自分にしっかりと向き合い、昨日までの自分を超えていくこと」が本日のミッションである旨の話をしました。もちろん大会ですから、順位やタイムを競うことになりますが、大切なのは自分自身のベスト更新に挑むこと。故に自分のペースを理解し、決して無理しすぎずにベストを尽くすことが克服感や達成感を味わうためには必要であることを伝えました。

 続いて挨拶に立ったのは体育委員長。今日は彼にとって大切な記念日であったようで、全校生徒からの大きな拍手とともに祝福を受けた後、全校生徒に檄を飛ばし、最後は恒例の一発芸で場を盛り上げていました。

 ひとしきり場が温まったところでいよいよスタート時刻が迫り、スピードもあり走る距離も長い男子生徒たちが先にスタートラインにつきました。

 列の先頭には、授業中の事前トレーニングで好記録を残した精鋭たちを集めたスーパーシード組、次いでシード組、そして一般生徒と並び、定刻の9時45分に号砲とともに一斉にスタートしました。20分後の10時5分には、男子と同様にスーパーシード選手を先頭に女子がスタートしました。スタートする生徒たちは、にこやかに手を振りながら、余裕ある表情で走り始めていきました。

 スタート後はしばらく生徒たちが帰ってこないのですが、ケガや体調不良などの理由でやむなく役員となった生徒たちは、本部テントの周辺でゴールする生徒たちへのドリンク配布や計測チップ回収の準備を着実に進めていました。そうした献身的な姿勢に感心して見ていましたが、更に感心したのは、準備が終了して生徒たちがゴールするまでの待機時間に、多くの役員生徒たちが単語帳や問題集、文庫本などを取り出して学習を始めたことです。誰に言われたわけでもありませんが、隙間時間を有効活用しようとする姿勢に、これぞ「自走」を標榜する本校生徒たちの真の姿だと心から感心しました。

 やがて男子の先頭が見え始め、ゴール付近が一気に慌ただしくなる中、トップでゴールテープを切ったのは1年生の直井琥太郎君(陸上部)で、昨年の優勝タイムを2分ほど上回る好タイムでした。2位は同じく1年生の菊地涼世君(陸上部)、3位は2年生の石神蒼太君(男子テニス部)でした。

 すると男子の上位に交じって女子のトップがやってきました。女子のトップは2年生の前島美桜さん(陸上部)、続いて2位は3年生の荘野友里愛さん(校外活動)、3位は2年生の内山わか菜さん(校外活動)が入賞しました。

 その後、「疲れた~!」とか「足がつった!」などと言いながら男子も女子も続々とゴールし、結局途中棄権者が6名いたものの、出走した生徒全員が無事に笑顔でゴールすることができました。中には励ましながら走り切った仲間と横一列になりタイミングを合わせて笑顔で一緒にゴールラインを通過するなどイベントを楽しんでいる姿も見られ、高校生らしさにほのぼのとした気持ちになりました。

 生徒たちが口にしていたとおり、本日のレースは生徒たちにとって未知の距離であり、過酷な自分との戦いであったのだと思います。走っている途中で幾度となく「もうやめたい」と思ったに違いありません。しかし、そんな自分に負けそうになった時に、気持ちを奮い立たせてゴールを目指し続けたからこそ制限時間内に全員がゴールすることができたのであり、これはまさに「自分自身としっかりと向き合えた証」なのだと感じています。

 もしかすると、「もっと頑張れた」と思った人もいるかもしれません。しかし、それも含めて自分の限界点と現在地を確認できる大切な経験となったはずです。そしてまた、折れそうになった自分の心に打ち勝ち、困難を乗り越える経験を一つ積み重ね、一回り逞しくなれたことは、皆さんにとって大切な財産となったと言えるのだと感じています。

 これから先、皆さんが経験する長い人生においては、皆さんの意思にかかわらず挫けてしまいそうな大きな困難に直面する時が必ずやってきます。皆さんには、そうした時に逃げたり、挫けたり、妥協したりするのではなく、自分の力を信じて困難の克服に果敢に挑戦し、苦しみ藻掻きながらも逞しく乗り越えていってほしいと願います。

 日頃から、切磋琢磨している「南の風」の皆さんならば、必ず困難を乗り越えた先にある素晴らしい景色を見ることができると信じています。

 頑張れ、越南生!頑張れ、南の風!

※越南ブログにも関連記事がございますのでご参照ください。