校長ブログ

旅立ちの日(第50回卒業証書授与式)

 本日3月11日(水)午前10時より本校体育館において第50回卒業証書授与式を挙行し、普通科308名、外国語科40名、合計348名の南の風の仲間たちが新たなステージへと巣立っていきました。

 見上げれば、50期生の卒業を祝うかのように澄んだ青空が広がり、温かな日差しが降り注ぐ心地よい日和の中、多数の保護者の皆さまにご列席を賜り、無事に式を執り行うことができましたこと、心より感謝申し上げます。

 時間を遡ってみれば、本日卒業の日を迎えた50期生たちは、小学校の卒業を僅か1か月後に控えた2月末に、突然国から突き付けられた休校措置により小学校生活の締めくくりを制限下で迎えた生徒たちです。

 更には、中学校への入学が6月へとずれ込み、消毒、換気、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保や黙食などを強いられ、新たな仲間作りも、夢への挑戦も、すべてが思うようにいかない中で、本来様々な経験を積むことができるはずであった中学校生活をコロナとともに過ごしてきた世代です。

 3年前、本校に入学した頃からやっと制限が緩和され、コロナの感染症区分5類への移行を受けて、感染対策が個人の判断に任されるまでになり、本校入学後からやっと本来の高校生らしい学校生活を手にすることができたのだと思います。

 そうした不遇とも言える時代を過ごした世代の皆さんが南の風の一員となり、失った時間を取り戻すかの如く、南の風の仲間たちと切磋琢磨しながら、学問にも、部活動にも、そして大切な仲間たちとの絆にも、あらゆることに主体的かつ精力的に取り組み、夢や目標の実現に向けて3年間青春し続けてきたことは、本校の歴史においても、皆さんの人生においても、大きな意味と価値のあることだと感じています。

 そして本日、そうした時代の主人公であった3年生たちが、笑顔や涙とともに巣立っていく姿を見て、保護者や家族ではない私でさえ、胸に込み上げる熱いものを感じずにはいられませんでした。

 卒業式では、担任の呼名にはっきりとした返事で応える姿、校歌や式歌を胸を張って堂々と歌う姿、代表として登壇し、背中に視線を浴びながら凛とした振る舞いを見せる姿、どれをとっても卒業生たちは、最後まで立派でした。

 こうした生徒たちの立派な姿を見るたびに、保護者の皆さまが如何に普段から生徒たちに愛情を持って接してこられたのかを痛切に感じさせられます。

 本校の生徒たちは、どんな場面においても場や立場をわきまえたしっかりとした言動をすることができる素晴らしい素地を持っていると感じます。一方で、私たち教職員は、生徒を大人へと成長させるべく日々努力していますが、生徒たちの日常的な言動や立ち振る舞いは、僅か3年間の高校生活だけでは大きく変わることはありません。高校生世代の若者たちの思考や行動の基本は、幼少期から毎日を共に過ごす保護者やご家族の皆さまとの生活の中で培われるのであり、本校で立派な姿を見せる生徒たちも、ご家庭でのご指導あっての姿なのだと強く感じています。

 また、そうした素地を持つ生徒たちをお預かりし、3年間の教育活動の中で如何に更なる高みに近づけるのかが私たち教職員の役割なのだと考えています。保護者の皆さまには、お子さまの大切な3年間の学びを本校に託していただきましたこと、そして日々包容力を持ってあたたかくご支援いただきましたことに、改めて深く感謝申し上げます。

 卒業証書授与に続いて行った校長式辞では、卒業生への餞の言葉として次の2つの話をしました。

 一つは「生涯学び続けよ」ということ。

 学びとは、単に知識や技能を身に付けることではなく、知識や技能を身に付ける過程で求められる「思考のプロセス」の積み重ねであり、そうした積み重ねが様々な困難を乗り越えるために必要な判断や決断の根拠となるのであり、そうしたスキルが自分の人生を輝かせる財産となるのだということ。

 もう一つは「他者から必要とされる人物を目指せ」ということ。

 身に付けた学びを自分の利益のために使うのでは、結果的に自分を含めて誰も幸せにすることはできない。だからこそ「利他の精神」をもって身に付けた学びを「誰かが必要とすること」や「誰かが求めるもの」のために活用することに注力してほしいということ。自分が生み出したものを必要とする誰かが、それによって豊かになることで、自分の存在が社会に認められ、他者に必要とされることで、やがては自分自身の幸せにつながるのだということ。人生の勝者とは、そうした他者からの評価を得て自分の存在価値を高めた者のことを言うのだということ。

 そして、どちらも「南の風」の一員として日々自己研鑽に取り組んできた皆さんであれば、必ず実現できるはずだと伝えました。

 時間の経過とともに式が進むにつれ、目を赤くしながら大粒の涙をこぼす生徒も増えてきました。式のクライマックスとなった答辞では、登壇した前生徒会長の言葉に3年間の思い出をひとつひとつ記憶を辿りながら蘇らせ、感情が高ぶり涙腺が崩壊する生徒も多く見られました。前生徒会長の答辞は内容も想いが詰まっていて素晴らしかったですが、答辞を読み終え降壇する前に、保護者の皆さまに向かって深々と頭を下げながら力強く発した「ありがとうございました」という言葉は、これまでに類を見ない異例なものでしたが、本人の心の底にあった素直な気持ちがまっすぐに表現された言動であり、会場にいたすべての人の心に響く、とても立派で素晴らしい姿でした。

 国歌斉唱、式歌の斉唱が終わり、エンディングとして迎えた卒業生退場の場面では、どのクラスも壇上に一礼した後、保護者席に向かって思い思いのパフォーマンスで感謝の意を伝えていました。元気の良いパフォーマンスの後に喝采の拍手を浴びながら会場の出口に向かう生徒たちの背中からは切なさと寂しさが溢れていましたが、たくさんの保護者の皆さまや後輩たちに見送られ、滞りなく式を終了することができました。

 式を終えた卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。本日の卒業式は、皆さんのおかげで、記憶に残るとても素晴らしい式になりました。

 式後は、担任による最後のホームルームのあと、教室やロータリーで大切な仲間たちや保護者の皆さまと記念の写真を撮ったり、後輩たちからの餞のセレモニーに身を置く姿がしばらく続きました。午後3時ごろには、殆どの保護者の方もお帰りになり、本年度最後のビッグイベントは静かに幕を下ろしました。

 寂しい気持ちもしますが、出会いがあれば、必ず別れもある。これは世の中の常識です。更に言えば、別れがあれば、必ずまた新たな出会いがある、ということでもあります。

 今日から本校は皆さんにとって「母校」となります。「母校」は、それぞれの心の中に特別な存在として一生涯皆さんとともにあります。南の風の仲間として本校での3年間の学校生活の中で身に付けた力を、これから始まる新たな挑戦の舞台で思う存分に活用し、社会に大きく羽ばたいてほしいと願います。そして、何年か経ったのち、立派に成長した姿となって、思い出したように本校に立ち寄ってくれることを願います。

 保護者の皆さまにおかれましては、3年間本校の教育活動に格別のご理解とご協力、ご支援を賜りますとともに、ご多忙の中ご列席を賜り、重ねて心より感謝申し上げます。お子様は卒業となりますが、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 頑張れ、越南生!頑張れ、50期生!