校長室より

1枚の静止画に込めたメッセージ(埼玉県高等学校写真展)

 令和7年7月1日(火)から7月6日(日)まで、北浦和にある埼玉県立近代美術館において第44回埼玉県高等学校写真連盟写真展6月展が開催され、本校写真部の生徒たちの作品が展示されました。

 この写真展は、県高等学校写真連盟が6月と11月の年2回開催する展覧会で、県内の高等学校に在籍する高校生写真家たちが、それぞれの想いをギュっと詰め込んだ渾身の1枚を出展して日頃の成果を競い合うもので、高校生写真家たちにとっては、1年で最も権威のある展覧会であるとされています。

 高校写真展では、6月と11月の2回の展覧会で優秀と認められた作品のうち1,2年生の作品が次年度の夏に行われる全国高等学校総合文化祭に、3年生の作品が当年度2月に行われる関東高等学校写真展にそれぞれ出展される規定となっており、昨年度は本校生徒の作品が埼玉県の代表として全国総文祭岐阜大会2024や関東高等学校写真展千葉大会への出展を果たしました。

 今回の6月展では、県内各校から合計1404点の作品が出展され、専門家の皆さまによる厳正なる審査の結果、このうち120点が入賞作品(最優秀2、優秀8、優良40、奨励70)として選ばれるとともに、惜しくも入賞は逃したものの審査員の皆さまからの評価が高く、推薦を受けた作品を合わせた200点余りの作品が近代美術館の展示室に展示されました。

 私も本日7月5日(土)に近代美術館に足を運び、実際に展示された作品を鑑賞してきましたが、最優秀賞に選ばれた2点の作品は、素人の私でさえも見た瞬間に強烈なインパクトを感じる素晴らしい作品に仕上がっており、今にも画面から飛び出してきそうな臨場感があり、無数に並べられた作品の中で一際輝いて見えるような強いメッセージが感じられるものでした。展覧会を運営する写真部顧問の方々も「企業のCMやポスターにしても遜色がない」と唸っていました。

 その最優秀作品は、残念ながら本年度は本校生徒のものではありませんでしたが、本校からはすべての写真部員となる33名が、これまで撮り溜めた未発表の作品の中から自身の渾身の1枚を選び、写真の大きさや額装などにそれぞれの思いを込めた作品を出展し、このうち優良賞1点(「TRÄUMELAND」2年浜田琉海)、奨励賞1点(「明暗な一足」3年矢島史悠)が見事に入賞を果たすとともに、入賞作品2点を含む3年生10名と2年生4名の作品合計14点が推薦作品として選考され会場に展示されました。

 写真部員たちは、普段物静かで真面目な雰囲気の生徒が多く、見るからにエネルギッシュで賑やかに活動する運動部に比べて派手さはないものの、その分堅実且つ緻密な計画と計算のもと、地道に自分の感性を磨き続け、心を動かすような一瞬のシーンを求めて、ファインダー越しの日常を切り取りながら作品を撮り溜めています。

 近年は機材のデジタル化が進み、ほとんどの記録媒体が電子データとなったため、奇跡の一瞬を逃さないよう高速連射で撮影したり、構図やアングルなどの失敗を気にせずに、たくさんの写真を撮ることができるようになりました。また、エフェクトをはじめとした様々な加工も手軽に施せるようになり、1枚の写真から多様なメッセージを発することができるようにもなりました。

 これまで部員たちが撮り溜めた数多ある作品の中には、自身の想いを載せきれなかった作品も多くありますが、そうした作品の中には、心に刺さるメッセージが感じられ、皆さんに作者として感じた感動を伝えたいと思えるような作品も多数ストックできるほどに感性や撮影スキルが向上しています。今回はその中から、自身が最も自信をもって発表できる渾身の1枚を写真展に出展しました。

 2名の作品の入賞と14名の作品の推薦展示(展示された作品の7%が本校生徒の作品)という素晴らしい成果を成し遂げられたのは、日頃から写真部員たちが地道に感性や撮影スキルを磨くとともに、目の前で起こる様々なシーンの一瞬を逃さず、四角いファインダーから見える景色を切り取り続けた成果であると言えます。そうした地道な作業の継続には、知識や経験だけでなく根気や熱意が必要であり、生徒たちは見事にそうした活動を全うしている証であると言えます。

 デジタル技術が飛躍的に進化し、AIの台頭などにより、真偽不明な動画さえも当然のようにネット上に拡散されるこのご時世だからこそ、写真部の皆さんには、真実を記録して表現し続けてほしいと願うとともに、ストレートにメッセージが伝わる静止画の魅力と価値を大切にし、これからも観る人の心に刺さる1枚を撮り続けてほしいと願います。そしていつか、皆さんが1枚の作品に込めたメッセージが、観る人の心を動かすことを願っています。

 頑張れ、越南生!頑張れ、写真部!

優秀賞「TRÄUMELAND」2年浜田琉海

 

 

 

 

 

 

奨励賞「明暗な一足」3年矢島史悠

 

 

 

 

 

 

 

 「森のひととき」3年磯邊結

 

 

 

 

 

 

 

 「静景」3年朴珍

 

 

 

 

 

 

「毅然」3年髙橋快 

 

 

 

 

 

 

 

「少年心は砂にあり」3年猪瀬翔望 

 

 

 

 

 

 

 

「森厳」3年パスマイカ 

 

 

 

 

 

 

 

「On your voice」3年三瓶智大 

 

 

 

 

 

「純潔」3年池田果穂 

 

 

 

 

 

 

「沈鬱」3年日吉陸 

 

 

 

 

「青春アミーゴ!!!」3年奥田那津 

 

 

 

 

 

「海のアスリートたち」2年鵜川紗友姫 

 

 

 

 

 

「晴天白日」2年白石悠太朗 

 

 

 

 

 

「虚実皮膜」2年吹澤拓実