【校長室】音楽って素晴らしい!(吹奏楽部定期演奏会)
昨日5月12日(日)に本校吹奏楽部が、越谷サンシティホールの大ホールにて第38回定期演奏会を開催しました。このホールの収容人数は1675席ですが、ほぼ満席の来場者で溢れかえり、大盛況のうちに実施することができました。生徒たちも、客席が来場者で埋め尽くされた素晴らしい舞台で経験を積むことができ、緊張とともに大きな達成感を感じられるとても有意義な時間となりました。
こうした舞台で日頃の成果を披露できますのも、生徒たちの日々の努力は言うまでもありませんが、日頃より温かく見守り、支えてくださっているご家族の皆さまや様々な形でご支援や応援を賜ります皆さま、そして運営にご尽力いただいたOB、OGの皆さんや関係の方々など、たくさんの方のご協力があってこそ実現できた舞台だと考えています。お休みのところお越しいただきました保護者の皆さまや応援していただいている皆さまには、心より深く感謝申し上げます。
演奏会は3部構成となっており、第1部はコンクール課題曲を中心とした緊張感のあるステージで、押し寄せる音の迫力と様々な楽器が奏でる音楽のハーモニーに、一気に心を奪われてしまいました。第2部では、入部まもない50名の1年生が全員で揃いのTシャツを着てステージデビューを果たしました。わずか1か月足らずのチームで、しかも初心者もいる状況でしたが、奏でるその音楽はすでに立派なハーモニーとなっており、さすが強豪校だなと感心しました。第3部は、打って変わってポップでコミカルなステージとなり、カラフルな衣装を纏った部員たちに心を鷲掴みにされ、会場全体が一体となって音楽に合わせて踊るなど、とても楽しく爽やかなステージとなりました。顧問の先生もナレーションに加わったり、金髪に派手な衣装で指揮棒を振ったり、生徒と一体となって楽しんでいる姿に学校教育における部活動の意義を強く感じました。
印象的だったのは、各演奏の前に部員がマイクを持ち、演奏する楽曲の説明をしてくれるのですが、これがどの生徒も丁寧でわかりやすく、しかも堂々としており、とても素晴らしかったです。中でも秀逸だったのは、終盤に登壇した部長さんが来場者の方々に思いを伝える丁寧で流暢な挨拶と、コメディータッチの演出やダンスパフォーマンスに加え、エンディングで披露した120名の部員全員による、まさかの「合唱」です。普段楽器を奏でることが仕事の吹奏楽部員が、同じ音楽でもジャンルの違う「歌」で自分たちを表現する。きっと歌うことは苦手な生徒もいたと思いますが、全員が堂々と歌い、まるで合唱部の発表を見に来たのかと錯覚するぐらいの圧倒的な歌声でした。次々と披露される音楽とコミカルに進むパフォーマンスについつい引き込まれ、気づいてみれば約3時間にわたるステージに没入してしまいました。
吹奏楽部の演奏を聴くと、いつも感じることがあります。それは、スポーツの世界ではよく言われることですが、「音楽にも人の心を動かす力がある」ということです。もちろん奏でられる音楽そのものの魅力もありますが、何より出演する生徒一人ひとりに違う楽器と役割が与えられ、全員が自身の役割を全うすることで一つの作品が出来上がることがその要因であると考えます。個々の演奏テクニックの上達だけでは人を魅了する音楽を奏でることはできず、演奏者全員が仲間の存在をしっかりと意識し、音色や音の強弱、タイミングやリズム、ブレストに至るまで様々なことを感じ合いながら、全体の調和を最優先に一体感のある音楽を目指す。そこに観客の心を魅了する理由があるのではないでしょうか。日常の練習や学校生活から仲間との協調や協働を強く意識し、チームとしての音楽づくりができていることが透けて見えるからこそ、「人の心を動かすことができる」のだと思います。越南吹奏楽部は、100名を超える大所帯となった現在でも、こうしたことを部員全員が意識し、実践しているからこそ「吹奏楽強豪校」としての確固たる地位を維持しているのではないでしょうか。そして、こうした考え方は、学力向上や自己実現とともに人格形成を追求する学校教育活動の根幹であり、本校が部活動を推奨する大きな理由でもあるのです。
吹奏楽部の皆さん、素敵なひと時をありがとう。次の公演がとても楽しみになりました。夏の県大会、西関東、そして全国の舞台目指してがんばれ越南生、がんばれ吹奏楽部!